過去問はこうやって本試験への知識に変える～労働基準法⑦～

「医師は、免許を受けた後も、２年以上大学の医学部若しくは大学附置の研究所の附属施設である病院又は厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行うように努めるものとすると定めている。この臨床研修は、医師の資質の向上を図ることを目的とするものであり、教育的な側面を有しているが、そのプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に、研修医が医療行為等に従事することを予定している。そして、【要旨】研修医がこのようにして医療行為等に従事する場合には、これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することとなるのであり、病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り、上記研修医は労働基準法９条所定の労働者に当たるものというべきである。」

でしたね。

これを記憶しやすい情報に加工して京大式カードに書くなり、ＩＣレコーダーに録音してクイズ化し、何回か繰り返せば、簡単に覚えられますね。

スマホアプリの「分散学習帳」がもっと使いやすいでしょう。

情報を覚えやすく加工する過程で脳みそに汗をかき、覚えやすくしたものを何回も繰り返し思い出すことで長期記憶に変えることが一番の忘却対策です。

分かりやすい講義や資料を１回聴いたり、眺めたりしただけで問題が解けるなんて魔法じみた方法はありません。

筋トレと一緒です。

脳みそに汗をかいた分、あなたが本試験で使える知識になります。

今日の過去問検討

今日のテーマと本試験に持っていく知識の個数

では、過去問検討に移りましょう。

今日は、「労働契約」の「労働契約の効力と契約期間」から、

「労働基準法違反の労働契約」（労基法１３条）、

「契約期間」（労基法１４条）と、

「有期労働契約の締結・更新及び雇止めに関する基準」を整理します。

僕が持っている過去問集と、今年の問題からは、

「労働基準法違反の労働契約」は４肢（それと選択式が１問。）、

「契約期間」は１３肢（類題含めて１５肢、それと選択式が１問）、

「有期労働契約の締結・更新及び雇止めに関する基準」は２肢（類題含めて４肢）

載っています。

ただ、僕の検討では、問題の数だけ知識が必要なのではなくて、

「労働基準法違反の労働契約」は「１個」の知識、

「契約期間」は「３個」の知識、

「有期労働契約の締結・更新及び雇止めに関する基準」は「２個」の知識

でパーフェクトだとまとめました。

その中でみなさんは、お持ちの過去問集から、

本試験に持っていく知識はどのように準備していますか？

では、そのうちの１つを見てみましょう。

今日の１問

「労働基準法で定める基準に違反する労働条件を定める労働契約の部分は、労働基準法で定める基準より労働者に有利なものも含めて、無効となる。」

（平成２１年度問２Ａ）

この問題、問われている知識は何でしょう？

では、シンキングタイム、スタート！

このブログでは、５Ｗ１Ｈの疑問形になるように考えることを推奨しています。

………、

「労働基準法で定める基準に違反する労働条件を定める労働契約の効力はどうなるか？」

ですね。

では、答えは？

………、

本試験に持っていく論点知識

「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。」

ですね。

整理の視点

今日のも読めば分かります。なお、過去記事のリライト版です。

過去問はこうやって本試験への知識に変える～労働基準法⑧～ - 日本で２番目にドＳな社労士試験対策

前段はポイントが２つ。

１つ目は「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、」であること。

平成１９年度選択式の過去問では「に達しない」の部分が抜かれましたね。

ってことは、この条文知識が再出題されるとしたら、この部分を別フレーズに置き換えて誤りとしてくるでしょう。

どんな書き換えがされたら、あなたはコロッと引っ掛かりそうですか？

合格者レベルの方であれば、「達しない」と似たようなニュアンスのフレーズをイメージして、自分への注意喚起をします。

というのも、何となくこんな感じだったよねくらいの雑な覚え方をしてはいかんという危機管理能力とでもいいましょうか、嗅覚が身につくんですね。

それは、選択式で抜かれたことがあり、自身で初見の問題として解いたときに、何も見ない状態でフレーズを思い出そうとしてやらかしたといった、小さな小さな躓きから学びを得ようとする姿勢があるからです。

本試験の準備に当たって、過去問や答練・模試の問題を間違うということは、私たちにいろいろな気付きを与えてくれます。

単に知識があやふやだったり、覚えていたつもりということにとどまらず、覚え方の工夫の仕方に問題があったり、問題文の読み方に問題があったり、論点の読み出しに問題があったりといった、本試験でやらかすと致命的なミスに気付くことができます。

これを〇×の答えだけ合っているかどうかといった表面的な接し方しかしていないのであれば、いつまでたっても地力はつきません。

答えを見て、正しい内容をチラ見する程度なんてのはもってのほか。

高校・大学受験のときに、参考書や問題集の解答を丸写ししたり、文字面を目で追うだけで勉強した気になっていた方は、社労士試験でも同じことをやらかしますので、要注意ですよ。

話を戻しましょう。

前段のポイントの２つ目は「その部分については無効とする。」です。

つまり、労基法の最低基準に満たない労働契約は、その部分だけ無効だよってことです。

別の言い方をすれば、仮に最低基準に達しない労働契約を締結したとしても、全部無効ではなく、あくまで基準未達部分だけが無効だということです。基準以上の部分まで巻き添えで無効とはならないってことです。

なので、問題文の後半部分が誤りということになりますね。

で、どんな具体例が考えられるでしょう。それを自分なりに考えてみるのが能動的な勉強というものですし、事例問題対策にもなります。

合格者レベルの方は、間違いなく、自力で具体例を考えることをします。

後段のポイントは１つだけ。

「この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。」

というのは、読めば分かりますが、じゃあどういうことか？というのを自己解説できていますか？

ここで、受験経験の割に合格基準に届かない方は、このフレーズをそのまま言い挙げるだけです。

いやいや、それって、解説じゃないから。

合格者レベルの方だったら、こんな感じで頭の中に入っています。

「前段にあるような労基法の基準に未達の労働契約を締結した場合、その部分だけが無効にはなるが、無効部分を放置するのではなく、労基法の内容が補充されて全体として有効な契約となるってことだよね。」

まさに「無効となつた部分は、この法律で定める基準による。」の意味がありありとイメージできていますよね（●＾o＾●）。

こういった、より噛み砕いた言い換えができるかどうかが、真の理解というものです。

講義で講師が話していることが耳に入ってきたり、テキストの記載の文字面の並びが見えているといったことは理解とは言いません。

「理解しながら勉強しましょう。」と掛け声だけ掛けて、理解した気にさせるなんてのはもってのほか。

ちなみに、僕が受験生時代にこの条文理解のためにやったのは、図示して、どういう論理構造になっているのかをヴィジュアル化することでした。

論理的に書かれた文章を図示するということは、その構造が読み取れていないとできません。

というよりも、論理関係を整理するために図示していたという方が正確かもしれません。

頭の中がゴチャッとした感じのときは、「これを図に描くとどうなるだろう？」という自問自答はしていましたね。

それをしたことで、理解と頭の中の整理ができ、覚えるための労力は減りました。これにより、択一の点数は基準越えで安定しましたね。

このブログを活用しているあなたもとっくに図示しながらの自己解説はやっていて、深い学びの域に達していますよね(^_-)-☆。

今日のまとめ

今日は、「労働基準法違反の労働契約」を整理しました。

また、問題を間違うということは学びの宝庫だということについてもお伝えしました。

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実際に参加した受験さんからは、

「用語の大切さを改めて感じました。択一で、しっかりと用語を確認して、学んでいれば、選択問題にも応用ができることもわかりました。」

「自分では気づかない「解法のテクニック」があったことがわかった。」

「戦略的に表を書き３点取りにいくことです。一般常識以外でも難問が出るという心づもりと大ボス、中ボスとの戦いに向けて、構える姿勢について知れました。」

といった感想をいただいております。

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