日本で2番目にドSな社労士試験対策

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本試験問題を解いてみたⅡ~合格者脳はこう考える~択一式③

みなさん、こんにちは。

 

「日本で2番目にドSな社労士試験対策講師」の塚野です。

 

毎日、ありがとうございます。

はじめましての方、ようこそいらっしゃいました。

 

僕はこんな人です。

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さて、今日も今年の本試験問題を実際に解いてみて、「合格者レベルならば、どのような思考を辿るか?」という内容です。

 

【もくじ】 

 

労働科目択一式③

今日は雇用・徴収法

 

雇用

問1は「被保険者資格の有無の判断に係る所定労働時間の算定」ですか…。嫌な予感がします。

A~Eすべて過去問なし。テキストにも記載なしなので、その場で考えて解答を得なくてはなりません。

労災に引き続き、雇用でも第1問で心を折りに来ていますね。

本試験では、最初はすっ飛ばして、あとで戻ってきて解く問題です。

Aは、事前に労働時間が分かりようがないのだから、勤務実績に基づくのはその通りかなと考え、〇寄りの△。

Bは「12分の52で除して」って何だ? となりますが、12は1年の月数。52は1年の週数なので、12分の52で除して(12倍した後に52で割って)得られるものは、1か月当たりの週数の平均値ということになります。

だとしたら、所定労働時間が1か月単位で定められていたとして、仮に100時間だとすると、この方の週当たりの所定労働時間は(100÷52/12)≒23.08時間という計算をするんだよってことです。週平均が出るので、特に問題なしと考え、〇寄りの△。

Cは「加重平均って何だったけ?」となりますが、労一の最賃法で「全国加重平均」という用語が出てきますから、このときに意味を調べていたはずです。

ちなみに、どういうものかというと、平均を計算するとき、データの重みを考慮して計算した平均のことを言いますが、具体例として、この記事をお読みください。

http://www.pref.kyoto.jp/tokei/monthly/tokeikyoto/tk2012/tkroom201211.pdf

もし「加重平均」の意味が分からなければ、中立の△にします。

意味が分かるのなら、短期的かつ周期的に変動する1週間の所定労働時間ごとの重みの違いを考慮して平均値を算出するということを言っているので、特に問題なしと考え、〇寄りの△とします。

Dは、1年間の所定労働時間の総枠が決まっていたとしても、週又は月を単位として所定労働時間が定められているのなら、そっちの方が、より実態に即した週所定労働時間を算出できるだろうから、何が何でも1年間の総枠を52で割る必要はないんじゃないかと考えて、×寄りの△。

Eは、書面と実態に乖離があるのなら、実態に即した方が合理的と考えて〇に近い△。

誤りを選ぶ問題なので、×寄りの△としたDを解答にします。

社労士事務所でお仕事されている方ならご存じの内容だったかもしれませんが、骨の折れる問題です。

ただ、知らないからといって「えいやっ!」って解答を決めるのは早計です。

論理的な思考を経れば、根拠をもって解答ができ、得点できるのですから、合格者レベルであれば得点できる問題。

 

問2は「未支給の失業等給付」です。お、普通の問題っぽいぞ。

Aは、平成29年度問1Dの焼き直し。あれっ?2秒で答えが出ちゃったぞ。なまらサービス問題やん(*'▽')

念のためB以下も検討すると、

Bは、平成29年度問1Dの周辺知識。「自己の名で」でしたね。

Cは、直接の過去問はありませんが、やはり29年度問1Dの周辺知識。死亡した者は支給制限を受けていたのですから、「失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合」には該当しませんね。

Dは、古~い過去問では出題歴があるのですが、直近20年間では出題がありませんので、知らない方もいるでしょうね。

法第31条第1項にこんな定めがあります。

「第10条の3第1項の規定(未支給の失業等給付の規定のこと。)により、受給資格者が死亡したため失業の認定を受けることができなかった期間に係る基本手当の支給を請求する者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該受給資格者について失業の認定を受けなければならない。」

つまり、直前の失業の認定日以後に基本手当の受給者が死亡した場合には、該当する者が未支給の基本手当につき失業の認定を受け、その間の基本手当を受給することができるんです。

仮に、このことを知らなかったとしても、本肢が正しいとすれば、未支給の基本手当の行き場がなくなってしまいますから、積極的に〇はつけられません。

Eも古い過去問にはあるんですが、直近20年間では出題がありませんので、知らない方もいるでしょうね。

施行規則第17条の2第1項にこんな定めがあります。

「法第10条の3第1項の規定による失業等給付の支給を請求しようとする者(以下「未支給給付請求者」という。)は、死亡した受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者、日雇受給資格者又は就職促進給付、教育訓練給付金若しくは雇用継続給付の支給を受けることができる者(以下この節において「受給資格者等」という。)が死亡した日の翌日から起算して6箇月以内に、未支給失業等給付請求書に当該受給資格者等の死亡の事実及び死亡の年月日を証明することができる書類、未支給給付請求者と死亡した受給資格者等との続柄を証明することができる書類並びに未支給給付請求者が死亡した受給資格者等と生計を同じくしていたことを証明することができる書類を添えて死亡者に係る公共職業安定所の長に提出しなければならない。(以下略)」

知らない場合は、中立の△をつけ、解答には選ばないように!

問2はサービス問題ですから、必ず得点しなければならない問題。

 

問3は「算定基礎期間」

Aは、平成29年度問2Bのプチ応用。この過去問を解いたときに「介護休業給付金に係る休業期間は算定基礎期間に含まれるが、育児休業給付金に係る休業は含まれない。」という風についでに類似事項までを整理していたかがポイント。

知らなければ、中立の△にしないといけません。

Bは過去問なしですが、比較的最近の法改正事項のはずなので、ご存じの方も多かったのでは? 仮に知らなければ、これも中立の△。

Cも過去問はありませんが、平成21年度問3A、27年度問2Cの検討の中で出てくる、算定基礎期間から除外されるものに該当しないことに気づけば誤りとはできないでしょう。そうでなければ中立の△。

Dは、平成27年度問2Cの焼き直し。瞬殺レベル。

Eは、平成21年度問3Aの焼き直し。瞬殺レベル。

A~Cが中々正誤が定まらず、イラっとしますが、最後にビッカビカの正解肢があるといういやらしい作りの問題。

失点してはいけない問題。

 

問4は「特定理由離職者と特定受給資格者」。過去問が多数ありますね。

Aは直接の過去問はありませんが、当初から事業の期間が決まっていたのですから「倒産等(いわゆる会社都合)」とは言えませんね。

なので、僕なら限りなく×に近い△にします。分からなければ中立の△です。

Bは、平成22年度問2Cの過去問論点知識。「雇用契約の更新・延長についての合意形成がない」の部分から「更新されることの明示の有無」については不明だと読み取れ、本人の希望があることから特定理由離職者に該当します。

期間の定めのある契約の方で特定理由離職者に該当するか否かは、覚え方にコツがあります。フローチャート化すればよいのです。

Cもズバリの過去問はありませんが、さすがにこれはかわいそうでしょう。限りなく×に近い△。

Dもズバリの過去問はありません。ユ・シ協定による解雇ならば、会社都合じゃないんじゃないかという気もしますが、よく分かりません。中立の△。

Eもズバリの過去問はありませんが、正当な理由のある自己都合退職かといえば微妙です。「子弟の教育のための退職」のイメージが湧きにくいですね。

自分で教えるために仕事の辞めたのか、遠くの学校に行くための引っ越しで辞めたのかとかです。

いずれにしても、退職する以外にも方法がありそうなものなので、正当な理由かといわれると疑問です。したがって、×寄りの△。

Dが悩ましいですが、過去問論点知識を足掛かりに正誤判断が可能なBを解答にします。

合格者レベルなら得点できる問題。

 

問5は「短期雇用特例被保険者」

Aは、平成20年度問3Cの焼き直し。瞬殺レベル。

Bは、平成19年度問4B(高年齢求職者給付金の問題)の周辺知識。

ドS勉強会では、比較表を作るワークをしましたね。瞬殺レベル。

Cは、平成21年度選択式E(出題当時)の周辺知識。

これも比較表のワークの中でやりましたね。瞬殺レベル。

Dは、過去問出題歴はありません。この事例で被保険者期間を2か月とカウントするのには抵抗があります。中立の△。

Eは、平成20年度問3Dの焼き直し。瞬殺レベル。

Dが悩ましいですが、Bがビッカビカに光っているので、Dは無視。

合格者レベルなら得点できる問題。

誤答された方は、基本手当、高年齢求職者給付金と特例一時金の比較整理をすることをお勧めします。

 

問6は「教育訓練給付

Aは、平成25年度問4ウ、13年度問6D周辺知識。限りなく〇に近い△。知らなければ中立の△。

Bは、平成21年度問6Eのプチ応用。問題文には「一般教育訓練給付金は、」となっていて、専門実践でないことが明記されていますから、分割支給ではないことが分かります。限りなく〇に近い△。分からなければ中立の△。

Cは、直接の過去問はありませんが、基本手当の場合どうなるかについての令和2年度問5Bとパラレルに考えれば、限りなく〇に近い△にできます。

Dは、ズバリの過去問もかすった過去問もありません。中立の△。

Eは、平成16年度問6Eの過去問論点知識。教育訓練給付適用対象期間延長の要件の中には「傷病手当を受けていないこと。」はなかったことから、これを誤りと判断。

合格者レベルなら得点できる問題。

 

問7は「育児休業給付」。なお書きも地味に重要ですね。

Aは、ズバリの過去問もかすった過去問もありませんが、論点としては「育児休業給付金の支給対象期間はいつまでか?~育児休業終了予定日~」なんですが、特別養子縁組っていう、おそらく社労士試験初登場の制度を絡めた問題ですんで、激ムズです。

ちなみに特別養子縁組ってのは、厚労省のHPによると、

「子どもの福祉の増進を図るために、養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度。」のことです。

社労士試験の中で私たちが養子縁組と呼んでいるものは、これとの対比で「普通養子縁組」といい、実の親との親子関係を継続したまま新たな親子関係を生じさせる養子縁組な点で、特別養子縁組とは全く別の制度です。

で、特別養子縁組のためには「縁組成立のためには、養親となる方が養子となるお子さんを6ヵ月以上監護していることが必要です。そのため、縁組成立前にお子さんと一緒に暮らしていただき、その監護状況等を考慮して、家庭裁判所特別養子縁組の成立を決定することになります。」となっていて、半年間の「お試し同居」があるんです。

本肢では、「そのお試し期間中に育児休業を取ったら、育児休業給付金がもらえるんだけれども、特別養子縁組が不成立なら、育児をするための休業ではなくなってしまって、育児休業給付金はもらえなくなるよね。じゃあ、いつまで育児をしていたって言えるんだろう?」ということを考えてねって問題です。

縁組不成立は家裁の審判によって決まるのですから、再度の請求がない限り、決定日の前日までの休業が育児のための休業ってことになりますんで、この肢は正しいんです。

ただ、過去問で問われたことはありませんから、僕なら本試験では限りなく〇に近い△として、他の肢との相対比較をして解答を決めます。

Bは、平成23年度問6E、29年度問6Eの過去問論点知識です。

これらの過去問は、直接的には支給額を問う問題ですが、これの意味内容を理解しようとしたときに「『休業開始時賃金日額』って、何ぞや?」という周辺知識も学び取る必要があります(そもそも、意味の知らない用語なのですから、これがどんなことを言っているかっていうのを調べて、自分の血肉にするのが勉強なのでは?)。

で、テキストには条文そのまんまが載っていて、こうなっているはずです。

育児休業給付金の額は、一支給単位期間について、育児休業給付金の支給を受けることができる被保険者を受給資格者と、当該被保険者が当該育児休業給付金の支給に係る休業を開始した日の前日を受給資格に係る離職の日とみなして第17条の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額(以下この項及び次項において「休業開始時賃金日額」という。)(以下略)」

要は、賃金日額の算定の仕方と同じことをやるよってことを言っています。

なので、本肢のように、直近のお給料を算定基礎にするわけではありません。

僕なら、自信を持って×にします。

過去問検討が不十分な方は、これあたりが正解っぽく見えるでしょう。

Cは、平成29年度問6Eの焼き直し。瞬殺レベル。

Dは、平成29年度問6Dの焼き直し。瞬殺レベル。

Eは、直接の過去問はありませんが、一度育児休業をしたことが、再度要件を具備したときの妨げになるといった規定はないはずですし、認めた方が育児休業取得の促進にもなるだろうから「対象となることはない。」というのは言い過ぎとして、限りなく×に近い△にします。

やはり、過去問ズバリと過去問をとっかかりにした周辺知識の根拠があって、誤りもしくは限りなく×に近い△としたものを解答にはせず、Aを解答にします。

合格者レベルなら得点できる問題。

 

雇用法は、問1が難。問2・3は易しい。5~7が普通かやや難。

合格者レベルなら、5点は得点できるでしょう。うまくいけば7点も可能ではあります。

今年は就職促進給付からの出題がありませんでしたね。ってことは、来年出るでしょうね。

 

徴収法

徴収法後半はどうでしょう?

問8は「特例納付保険料の納付等」ですか。ほー、平成27年度に1問丸々使っての出題以来だ。

Aは過去問なし。確かに特例納付保険料って、時効消滅したものの例外みたいなものだけれど、手続きをしていなかった被保険者を救済するようなものだから、全部とはいかないんじゃないの?と考えて、×寄りの△。

Bは、平成27年度問6Cの焼き直し。瞬殺レベル。

Cは、どんな種類の保険料が口振できるかということで、過去問多数。瞬殺レベル。

ドS勉強会でも、一網打尽に記憶できるやり方を整理しましたよね。

Dも過去問なし。納付の勧奨に応じて、事業主が保険料を納めようとしているのに、ペナルティーや利息を重ねて科すというのは酷ではないか? そんなことをしたら勧奨に応じる事業主なんていなくなってしまうと考え、×寄りの△。

Eは、平成27年度問6Dの焼き直し。瞬殺レベル。

悩ましい肢が紛れていますが、過去問検討をしていれば正解できます。

合格者レベルなら得点できる問題。

 

問9は「労働保険事務組合」

Aは、平成20年度雇問10Cの焼き直し。ちょっと細かいかな。

Bは、平成18年度問6Bの焼き直し。瞬殺レベル。

Cは、平成18年度雇問10C、23年度雇問8丸々、令和元年度雇問9Dの焼き直し。瞬殺レベル。

Dは過去問はありませんが、事務組委託の効果として、事務組が行政との窓口になるのですから、事務組の所在地管轄になるのが筋だと考えて、限りなく〇に近い△。

Eは、平成16年度災問10Eの焼き直し。瞬殺レベル。

AEが古めの過去問で悩ましいですが、お使いの過去問集次第ですね。

合格者レベルなら得点できる問題。

 

問10は「労働保険料」で事例問題。骨が折れそうですね。

Aは、保険関係成立初年度の延納の回数を問う論点ですね。したがって、過去問多数。

保険関係の成立日が令和元年7月10日なので「2か月ルール」によって、延納の回数は2回。この時点で誤りが確定。後半は正しい。

Bは、継続事業の年度更新の際の概算保険料額の計算方法を問う論点ですね。令和元年度災問8Dの論点知識。

この事例だと、令和2年度の賃金総額の見込み額は7,400万円、令和元年度の賃金総額は4,000万円で、「100分の50以上100分の200以下」に収まっていますから、4,000万円に労働保険料率を乗じて概算保険料額を算定します。

なので、計算式は(4,000万円×1000分の15=60万円)です。

過去問論点知識だけで解けるんですが、年度更新の手続きをやったことがない方にはハードルが高いかもしれません。中立の△にしてもいいでしょう。

Cは、前半は延納の回数と1回あたりの納付額の論点で、過去問多数。後半は、確定保険料の額と延納の可否の論点。平成26年度雇問9エ、27年度雇問9C。

前半は、保険年度の当初から保険関係が成立しているから、3回の延納が可能で、①は計算式も計算結果も正しい。

後半は、そもそも確定保険料は延納できないので、1回で納めなくてはならず、概算保険料との不足額を納めることになり、②の始期は正しいことになります。

また、納期限は翌年度の概算保険料の納期限と同じだから、一緒に収めることになります。

したがって、第1期分の保険料は①+②となり、Cが正解。

念のため、DEも検討すると、

Dは、増加概算保険料の要件の論点です。過去問多数。

本肢は100分の200を超えていませんから、要件不該当です。瞬殺レベル。

Eは、追加徴収の延納の可否の論点です。平成30年度災問9エ。瞬殺レベルです。

事例問題で、複合論点が絡んできた分、手間がかかりますが、過去問論点知識で答えを出すことができますんで、合格者レベルなら得点できる問題。

 

徴収法後半は、過去問の焼き直しも多いですが、それをベースに考えさせて正誤判断させる肢が多かったですね。

いい問題だと思います。合格者レベルなら3点は十分可能です。逆に過去問の検討が表面的な方は、太刀打ちできないでしょうね。

 

労災・徴収ほどのタフさがなかったので、最低でも6点は確保したいところです。満点も可能ですね。

 

今日はここまで。

明日は一般常識の択一問題の解き筋を書きます。

 

読んでくださって、ありがとうございます。

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