みなさん、こんにちは。
「日本で2番目にドSな社労士試験対策講師」の塚野です。
毎日、ありがとうございます。
はじめましての方、ようこそいらっしゃいました。
僕はこんな人です。
今年の本試験(令和4年8月28日)まで、残り122日(17週と3日)です。
1日1日を大切に過ごしましょうね。
このブログでは、今年の本試験向けに択一で50点を取るための準備として、毎日、過去問を1題例に挙げ、その問題を解くことで、どんな知識を本試験会場に持っていくかを検討していきます。
必要な論点知識に関しては、「記事を検索」の窓に必要なキーワードを入力して、探してみてください。
ただし、過去記事は予告なく限定閲覧記事に変更する場合があります。
また、勉強法に関する僕の考えは以下の記事をご覧ください。
合格者になるためのマインドセット - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
合格者になるためのマインドセット② - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
合格者になるためのマインドセット③ - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
合格者になるためのスキルセット① - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
合格者になるためのスキルセット② - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
合格者になるためのスキルセット③ - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
合格者になるためのスキルセット④ - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
合格者になるためのスキルセット⑤ - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
合格者になるためのスキルセット⑥ - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
合格者になるためのスキルセット⑦ - 日本で2番目にドSな社労士試験対策
今日もメインシリーズ
「過去問はこうやって本試験の知識に変える」を学んでいきましょう。
【もくじ】
昨日の振り返り
昨日は「未支給年金」を整理しました。
国年法上、どんなときに未支給年金の請求ができるんでしたっけ?
はい、思い出して!
………、
「①年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
②①の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その年金を請求することができる。」
でしたね。
これを記憶しやすい情報に加工して京大式カードに書くなり、ICレコーダーに録音してクイズ化し、何回か繰り返せば、簡単に覚えられますね。
スマホアプリの「分散学習帳」がもっと使いやすいでしょう。
情報を覚えやすく加工する過程で脳みそに汗をかき、覚えやすくしたものを何回も繰り返し思い出すことで長期記憶に変えることが一番の忘却対策です。
分かりやすい講義や資料を1回聴いたり、眺めたりしただけで問題が解けるなんて魔法じみた方法はありません。
筋トレと一緒です。
脳みそに汗をかいた分、あなたが本試験で使える知識になります。
今日の過去問検討
今日のテーマと本試験に持っていく知識の個数
では、過去問検討に移りましょう。
今日は、「給付通則」のうち、
「受給権の保護」(国年法24条)、
「公課の禁止」(国年法25条)、
「年金の支払の調整(内払)」(国年法21条)、
「充当」(国年法21条の2)を整理します。
僕が持っている過去問集と、今年の問題からは、
「受給権の保護」2肢、
「公課の禁止」は2肢(それと選択式が1問。)、
「年金の支払の調整(内払)」は3肢(類題含めて4肢)、
「充当」は3肢、載っています。
ただ、僕の検討では、問題の数だけ知識が必要なのではなくて、
「受給権の保護」は「1個」の知識、
「公課の禁止」は「1個」の知識、
「年金の支払の調整(内払)」は「1個」の知識、
「充当」は「1個」の知識で、パーフェクトだとまとめました。
その中でみなさんは、お持ちの過去問集から、
本試験に持っていく知識はどのように準備していますか?
では、そのうちの1つを見てみましょう。
今日の1問
「遺族である子が2人で受給している遺族基礎年金において、1人が婚姻したことにより受給権が消滅したにもかかわらず、引き続き婚姻前と同額の遺族基礎年金が支払われた場合、国民年金法第21条の2の規定により、過誤払として、もう1人の遺族である子が受給する遺族基礎年金の支払金の金額を返還すべき年金額に充当することができる。」
(平成29年度問9D)
この問題、問われている知識は何でしょう?
では、シンキングタイム、スタート!
いつものように5W1Hの疑問形になるように考えましょうね。
………、
「国年法上、どんなときに充当ができるか?」
ですね。
では、答えは?
………、
本試験に持っていく論点知識
「①年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(以下この条において「返還金債権」という。)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。
②①の規定による年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権への充当は、次の各号に掲げる場合に行うことができる。
一 年金たる給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族基礎年金の受給権者が、当該年金たる給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。
二 遺族基礎年金の受給権者が同一の支給事由に基づく他の遺族基礎年金の受給権者の死亡に伴う当該遺族基礎年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。」
ですね。
整理の視点
おなじみの内容ではありますが、完璧に準備が整っている方とそうでない方との差が出やすい論点ですね。
①のポイントは2つ。
1つ目は「年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(以下この条において「返還金債権」という。)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるとき」であること。
「~とき」とありますから、この部分が本肢の正誤判断の直接の根拠となる部分です。
さらに分けるとしたら3つのパーツから成っていますね。
「年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、」
「その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、」
「当該過誤払による返還金に係る債権(以下この条において「返還金債権」という。)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるとき」
こうやってパーツごとに分解して、それぞれの意味を取るようにしてやれば、テキスト読みを通じた覚えるべき内容の取捨選択と、思い出すべきポイントのピックアップが可能になります。なんのメリハリもなくノンベンダラリと文字を追うだけでは勉強したような気にはなりますが、何を学び取ったのかがほとんど無いでしょうね。
で、肝心の覚えるべきポイントはというと、
「年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、」ってのは、年金の受給権者が死亡したことによって失権したにもかかわらずってことですね。
年金給付の失権事由って、死亡については例外のない共通事項です。
ですが、障害や遺族の年金って、死亡以外にも失権事由ってありましたよね。
障害だったら3級不該当から3年経過と65歳到達の遅い方でとか、遺族なら婚姻したとか○○以外の養子になったとかってありましたね。
ところが、充当される場合というのは、さっきも見たように「年金給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅した」場合のみです。
本肢は、ここの盲点を突いてきていますね。うっかりしていると正しいと判断してしまいがちだという点で良問だといえます。
そう。だから私たちは、充当が可能な場合ってのは、単に受給権が消滅した場合って覚え方では足りず、「死亡による受給権消滅の場合で」って覚えなきゃいけないってことです。
パーツの2つ目「その死亡の日の属する月の翌月以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、」はいいですね。
年金給付の支給期間は、「支給すべき事由の生じた日の属する月の翌月から、権利が消滅した日の属する月」までですから、権利がないのにも関わらず過誤払いされるのって、死亡月の翌月からですよね。
こうした事柄も、ほかの論点知識の基本事項との振り返りを兼ねてチェックするようにしていると、秒で解決できる項目が増えますよ。
パーツの3つ目「当該過誤払による返還金に係る債権(以下この条において「返還金債権」という。)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金給付があるとき」ってのがちょっと面倒な言い回しですが、権利が消滅した年金給付を間違って受け取っちゃって、それを返さなくてはいけない方に、その人について発生した年金があるときはってことです。
さあ、このへんから頭の中が混乱してくるでしょうから、人物相関図を書いて、誰(ど)の年金についてどのフレーズが用いられているかをチェックしておきましょうね。
この時点では、死亡による過誤払いされてしまった年金給付が何で、過後払い分を返さなくてはならない方の年金が何かは言及されてはいません。それについての定めが論点知識の②です。
まず「①の規定による年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権への充当は、次の各号に掲げる場合に行うことができる。」となっていて、どんなときに充当が可能かというのを示していますね。
ちなみに「充当」ってのは、過後払いされた年金給付分を、それを返さなくてはならない遺族自身に生じた年金の分として穴埋めしようとするものでしたね。「内払」との違いはスラスラ思い出せられますか?
話を戻して、遺族のどの年金について穴埋めされるのかというと、
1つ目は、「年金たる給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族基礎年金の受給権者が、当該年金たる給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。」
うおー、訳分からん!ですね。
こういう時には一気に飲み込もうとするんではなく、小分けにするんでした。
まず「年金たる給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族基礎年金の受給権者」ってのは、何のこと?
単に「遺族基礎年金の受給権者」ではなく、「年金たる給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族基礎年金の受給権者」となっていますから限定されていますよね。
じゃあ、遺族基礎年金の受給権の発生=支給要件って、どんなものでしたっけ?
はい、思い出して! テキストはすぐ見ない( *`ω´)
………、
「①被保険者が、死亡したとき。
②被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものが、死亡したとき。
③老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が、死亡したとき。
④保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。」
でしたね。
これら4つの中で「年金たる給付の受給権者の死亡を支給事由とする」ってのはどれですか?
③だけですね。④は受給資格期間を満たしただけであって、受給権は未発生な場合(65歳に達していないし、繰り上げ請求もしていない方。)ですから「年金たる給付の受給権者の死亡」に該当しません。
また、障害基礎年金の受給権者が死亡したとしても、遺族基礎年金の支給要件には該当しませんね(①②④に該当する場合はあるでしょうが、それはあくまで①②④に該当したってことに過ぎません。遺族厚年との違いでもあります。)
したがって、充当されるのは、(25年の受給資格期間を満たした)老齢基礎年金の受給権者が亡くなったことによって遺族基礎年金の受給権が生じた場合だってことです。
(そもそも①②④の場合って、亡くなった方についての年金受給権はないのだから、それについての過誤払いが起きない。)
で、このときに老齢基礎年金が過誤払いされて、それを遺族が間違って受け取っちゃった場合に、本来ならそれを返して、遺族基礎年金をもらうって話なんだけど、間違って受け取っちゃった分を遺族基礎年金としての支給に充ててしまおうってことです。
これでスッキリしました。最初の場合は、
「過誤払いされたもの:死亡した者の老齢基礎年金。
充当されるもの:老齢基礎年金の受給権者の死亡によって生じた遺族基礎年金」
遺族自身に生じた老齢基礎年金や、障害基礎年金、他の家族の死亡によって生じた遺族基礎年金は充当の対象外ってことですね。
もうひとつの
「遺族基礎年金の受給権者が同一の支給事由に基づく他の遺族基礎年金の受給権者の死亡に伴う当該遺族基礎年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき。」ってのは、同順位の遺族基礎年金の受給権者がいて(実際には、子のみが受給権者で2人以上の場合。)、その者が死亡によって失権したんだけれども、その後も減額改定されずにそのままの遺族基礎年金を受給していた場合です。
本来なら、子の数が減ったことによって減額改定し、その後頭割りをした額の支給にしなくてはなりませんが、減額されずに支給された分を以後の穴埋めにしてしまおうというものです。
したがって、2つ目の場合は、
「過誤払いされたもの:死亡した同順位者の遺族基礎年金
充当されるもの:残った遺族の遺族基礎年金」
ってことですね。
こっちの場合も、残った遺族自身の老齢基礎年金や障害基礎年金は充当の対象にならないってことですね。
でね、テキストにはね「充当の対象は遺族基礎年金のみ。」って書かれていることが多いんだけど、それを丸暗記のようにしているだけでは、今日の1肢や平成29年度問9Cあたりも解けないでしょうね。
何が過誤払いされてしまって、その穴埋めを何を持ってするのかっていう整理をしておいた方が、事例問題っぽく問われた時の対応力や、選択式でしれっと抜かれた時の対策になるのではないかというのが僕の考えです。深読みしすぎかな。
受験生時代に苦労した記憶があるので、くどいくらいに自己解説した箇所の一つです。
あなたは、どのくらいまで掘り下げて準備していますか?
今日のまとめ
今日は、「充当」を整理しました。
また、テキスト記載の丸暗記で問題が解けない場合には、自分なりに掘り下げた方がよいということについてもお伝えしました。
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実際に参加した受験さんからは、
「用語の大切さを改めて感じました。択一で、しっかりと用語を確認して、学んでいれば、選択問題にも応用ができることもわかりました。」
「自分では気づかない「解法のテクニック」があったことがわかった。」
「戦略的に表を書き3点取りにいくことです。一般常識以外でも難問が出るという心づもりと大ボス、中ボスとの戦いに向けて、構える姿勢について知れました。」
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