みなさん、こんにちは。
「日本で2番目にドSな社労士試験対策講師」の塚野です。
毎日、ありがとうございます。
はじめましての方、ようこそいらっしゃいました。
僕はこんな人です。
来年の本試験(令和2年8月23日)まで、残り312日(44週と4日)、
今年の合格発表まで残り24日です。
1日1日を大切に過ごしましょうね。
で、再始動された方は、テンション抑え目で、じっくり準備していきましょう。
まだの方は、いつリスタートするかを決めましょう。
そろそろエンジンスタートしませんか?
でだ、あなたは、1週間平均でどれだけ、
脳みそに汗をかく「正味の」勉強時間を費やしていますか?
(テキストをマーカーで塗り絵していたり、眺めているだけの時間はノーカウントですよ。)
焦りは禁物ですが、お仕事、睡眠、食事、家事、ご家族とのコミュニケーション以外の時間で、
ボーっとしてたり、無駄にイライラしてたりする時間を過ごしてはいませんか?
大事なのは、毎日1%ずつ成長することだけです。
本試験が終わったときのやりきった感をイメージしながら勉強していきましょう!
このブログでは、今年の本試験向けに択一で50点を取るための準備として、毎日、過去問を1題例に挙げ、その問題を解くことで、どんな知識を本試験会場に持っていくかを検討してきました。
必要な論点知識に関しては、「記事を検索」の窓に必要なキーワードを入力して、探してみてください。
ただし、過去記事は予告なく限定閲覧記事に変更する場合があります。
今日もメインシリーズ
「過去問はこうやって本試験の知識に変える」を学んでいきましょう。
【もくじ】
昨日の振り返り
昨日は「時間単位年休」について整理しました。
年の途中で所定労働時間が変更になった場合、残余の時間単位年休はどのように変更されるんでしたっけ?
はい、思い出して!
………、
「①時間単位年休として取得できる範囲のうち、1日に満たないため時間単位で保有している部分については、当該労働者の1日の所定労働時間の変動に比例して時間数が変更される。
②1時間未満の端数は切り上げる。」
でしたね。
夜寝る前と、朝起きた時に繰り返しましたか?
記憶のコツは、
コンパクトな情報を常に繰り返すことです!
もちろん、そのまえに、テキストなどの
情報を自分の言葉でコンパクトに凝縮すること
も大事です。
それと、白書対策は法令の知識以上に情報に興味を持つことです。
ボーっと資料を眺めているだけだったり、暗記に走ろうとしても身にはつきませんよ。
分かりやすい講義を聴いたり、テキストを読むだけの
受け身な勉強では記憶は身につきません。
受験経験があって、択一合格点に届いたことのない方は、
今のやり方で、本試験会場でスラスラ問題を解き、
11月に合格している自分の姿をイメージできますか?
今一度、勉強方法を見直してみてはいかがですか?
今日の過去問検討
今日のテーマと本試験に持っていく知識の個数
では、過去問検討に移りましょう。
今日は、「年次有給休暇」から「年次有給休暇の取得方法・その他」のうち、「年次有給休暇の取得方法」(労基法39条5項)を整理します。
僕が持っているクレアール過去問集(2019年度向け。2020年向けは未入手)には、
「年次有給休暇の取得方法」は11肢(類題含めて13肢と選択式が1問)、載っています。
ただ、僕の検討では、問題の数だけ知識が必要なのではなくて、
「年次有給休暇の取得方法」は「5個」の知識でパーフェクトだとまとめました。
その中でみなさんは、お持ちの過去問集から、
本試験に持っていく知識はどのように準備していますか?
では、そのうちの1つを見てみましょう。
今日の1問
「労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合には、使用者との事前の調整を経なければ、時季指定権を行使することができない。」
(平成24年度問6オ)
この問題、問われている知識は何でしょう?
では、シンキングタイム、スタート!
いつものように5W1Hの疑問形になるように考えましょうね。
………、
「年次有給休暇について労働者が時季指定権を行使する場合、どのようにしたらよいか?」
ですね。
では、答えは?
………、
本試験に持っていく論点知識
「①使用者は、(略)有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。
②ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」
ですね。
整理の視点
ロジック的には難しくはありません。
また、実務上もとっても重要なところです。
まず、年次有給休暇の権利は、法定の要件を満たした場合、法律上当然に発生します。なので、使用者による「承認」や労働者からの「休暇の請求」によって生じるものではありません。
なので、本問で言うところの「労働者による時季指定」というのは、既に権利として発生している年次有給休暇を「この日に使いますよ。」といっているに過ぎないんです。少なくとも法律の建前上は(実際の運用では、工夫の要るところではあります。)。
この部分は、平成23年度の選択式でも出題された「白石営林署事件」の最高裁判例で判示された部分の話です。
問題文はこんなんでした。
<「〔年次有給〕休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を【B】として発生するのであつて、年次休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』の観念を容れる余地はないものといわなければならない。」とするのが、最高裁判所の判例である。>
ちなみに【B】の部分には「解除条件」という法律用語が入るのですが、この言葉の意味は使いこなせるくらいに理解できていますか?
「解除条件」というのは、「法律行為の効力消滅に条件が付されている場合」のことを言います。
なので、先の最高裁判例での「〔年次有給〕休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を解除条件として発生する」というくだりの意味は、「〔年次有給〕休暇の時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使があることによってはじめて効力を失う。」ということですので、裏を返せば、労働者による時季指定権は使用者による適法な時季変更権の行使がない限り有効だということです。この論理関係、重要ですよ!
で、話を戻すと、年次有給休暇の権利は、法定の要件を満たした場合、法律上当然に発生し、労働者による休暇の時季指定により、具体的にいつ行使されるかが決まるんですが、ここで、使用者による時季変更権の問題が生じてきます。
この時季変更権は、いつどんなときでも行使できるかというと、そうではなく②の場合のみなんです。
で、じゃあどんなときに「事業の正常な運営を妨げる場合」といえるのかが争われたのが、平成29年度の選択式で出題された「時事通信社事件」の最高裁判例なんです。
問題文はこんなんでした。
<最高裁判所は、労働者が長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合に対する、使用者の時季変更権の行使が問題となった事件において、次のように判示した。
「労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合においては、それが長期のものであればあるほど、使用者において代替勤務者を確保することの困難さが増大するなど【A】に支障を来す蓋然性が高くなり、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を図る必要が生ずるのが通常である。[・・・(略)・・・]労働者が、右の調整を経ることなく、その有する年次有給休暇の日数の範囲内で始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、これに対する使用者の時季変更権の行使については、[・・・(略)・・・]使用者にある程度の【B】の余地を認めざるを得ない。もとより、使用者の時季変更権の行使に関する右【B】は、労働者の年次有給休暇の権利を保障している労働基準法39条の趣旨に沿う、合理的なものでなければならないのであって、右【B】が、同条の趣旨に反し、使用者が労働者に休暇を取得させるための状況に応じた配慮を欠くなど不合理であると認められるときは、同条3項〔現5項〕ただし書所定の時季変更権行使の要件を欠くものとして、その行使を違法と判断すべきである。」>
長いですけど、言っていることは簡単ですよね。
要は「あんまり長いこと有給とられたんじゃぁ、普段の業務に差し障るよね。なので、使用者のある程度の裁量で有給の時季を変えたとしても必ずしも不合理とは言えないよね。」ってことを言ってるだけです。
ここは有名な最高裁判例が2つあるので、「え~っ」ってなる方もいらっしゃるかもしれませんが、言っていることは、「年次有給休暇の法的性質」と 「どんなときに事業の正常な運営を妨げる場合といえるのか」だけの話ですので、難しく考える前に、自分だったらどのように簡略化して記憶するか?に注意して情報の整理をするとよいでしょう。
まとめると、年次有給休暇の権利は、法定の要件を満たした場合、法律上当然に発生する→労働者による休暇の時季指定により、具体的にいつ行使されるかが決まる。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、時季変更権が行使されることがある。ということですね。
あなたは、この論点知識をどのように整理して記憶していますか?
今日のまとめ
今日は、「年次有給休暇の取得方法」について整理しました。
また、最高裁判例からの情報を取り出すコツについてもお伝えしました。
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