みなさん、こんにちは。
「日本で2番目にドSな社労士試験対策講師」の塚野です。
毎日、ありがとうございます。
今日は、遅めのアップです。お待たせしました。
来年の本試験(2019年8月25日)まであと「246日」。
さあ、今日もメインシリーズ
「過去問はこうやって本試験の知識に変える」を学んでいきましょう!
今日は「不正受給者からの費用徴収」(労災法12条の3)を扱います。
僕が持っているクレアール過去問集(新元号初年度向け)には、
不正受給者からの費用徴収の過去問は4肢(類題含めると7肢)載っています。
ですが、本試験に持っていく知識が、4個あるのではなく、
僕の検討では、「2つ」に集約できるという結論になりました。
みなさんは、お持ちの過去問集から、
本試験に持っていく知識は何個、準備していますか?
では、そのうちの1つを見てみましょう。
「派遣労働者が偽りその他不正の手段により保険給付を受けた理由が、派遣先事業主が不当に保険給付を受けさせることを意図して事実と異なる報告又は証明を行なったためである場合には、政府は、派遣先事業主から、保険給付を受けた者と連帯してその保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。」
(平成26年度問5D)
では、この選択肢の論点、問われている知識は何でしょう?
シンキングタイム、スタート!
いつものように5W1Hの疑問形になるように考えましょうね。
………、
「どんなときに派遣先事業主から、不正受給の費用徴収ができるか?」ですね。
この文の造りは、まず、「~~な場合には、こうなる。」 ですね。
なので、「どんなときに、どうなるの?」という疑問形なるんです。
「~~な場合には、」は、「派遣労働者が偽りその他不正の手段により保険給付を受けた理由が、派遣先事業主が不当に保険給付を受けさせることを意図して事実と異なる報告又は証明を行なったためである場合には、」の部分です。
この部分は、「派遣労働者が不正受給を行った。その理由は派遣先事業主が不正受給を受けさせることを意図して行った虚偽の報告や証明が原因だった。」と読めますね。
「こうなる。」の部分は、「政府は、派遣先事業主から、保険給付を受けた者と連帯してその保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。」の部分ですね。
この部分は、「派遣先事業主は、不正受給者と連帯責任を負う。」と読めますね。
ではどうなるんでしょう? 答えは?
………、
「派遣先事業主が虚偽の報告や証明をしたとしても、費用徴収はされない。」です。
えっと思いませんか?
理由としては、「労災法12条の3第2項は派遣先事業主には適用されないから。」なんですが、条文はこうです。
「前項の場合において、事業主(中略)が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。」
「前項の場合において」というのは「偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。」という内容です。
要は、不正受給をした人と、虚偽の報告や証明をした事業主は連帯責任よってことですね。
これは過去問出題歴アリの知識です。
ただ、派遣先事業主には適用なしなので、
「派遣先事業主が虚偽の報告や証明をしたとしても、費用徴収はされない。」となるんです。
う~ん、納得いきませんね。
ただ、本試験の問題としてはよく作られているなって印象です。
平成26年度の労災問5は「誤り」を選ぶ問題でした。
(ネットではまるっと1問の状態で流れていますので、実際に見てみてくださいね。)
正解肢は、これなんですけれど、
本試験会場では、最初は「〇」にしちゃうでしょうね。連帯責任って知識があるから。
ただ、他の肢が明らかに「〇」なので、
この選択肢が「ちょっとおかしいぞ。」と気づき、「?」とか「△」になるんですね。
僕だったら、時間がなければ、4つが間違いなく「〇」なので、
これを解答にしますね。
ただ、一応、「誤り」とする理由づけはします。
さて、あなたなら、どんな思考過程を経ますか?
僕なら、「不正受給をした人と、虚偽の報告や証明をした事業主は連帯責任やったな。でも、この問題は派遣が絡んどるな。派遣の場合、労災保険の諸々の責任を負うのは、派遣元やったな。う~ん、連帯責任を負うのは雇用関係に基づくものだとしたら、派遣の場合の連帯責任は派遣元しか負わないだろうな。それに、派遣先は保険料払っていないから、ペナルティーとしてお金を払わせるのっては負担と責任のバランスは悪いな。虚偽の報告や証明は罰則で対応するだろうから、費用徴収しなくてもかまわないか。」という思考をたどりますね。
赤字は過去問から得ている知識。
青字は過去問知識からの推理。
緑文字は推理に基づく結論。です。
一応、筋は通っているので、今日の選択肢を「限りなく×に近い△」として解答にしますね。
会場に持って行った確実な知識ではなく、現場で推理したものなので、
絶対に「×」にはしませんが、
筋が通っていることと、他の選択肢との兼ね合いで、これを解答にするんです。
間違っても「何となく×だと思った。」とか「フィーリングで×。」みたいなことはしません。
合格者の方にお話を伺うと、全く知らない問題にぶち当たったら、
ほぼ間違いなく、過去問知識を総動員して推理を働かせて、
一応の理由づけをして正誤判断をされていました。
つまり、知らない問題が出題されても、
慌てることなく、既存の知識でどうにかこうにか根拠のある解答をしているんですね。
しかも、かっちり固めた基礎知識が土台なので、
推理結果もおおむね正しくて得点につながるんです。
ただ、問題によっては、2つの選択肢が残って、2つともわからないことがまれにあります。
そのときは、「みんなできない問題。正答率低いだろうから捨て問。」と割り切って、次の問題に取り掛かっています。
どうです? 合格者の思考とあなたの思考の距離感はどのくらいですか?
今日のまとめ
今日は「不正受給者からの費用徴収」を扱いました。
併せて、本試験会場で全く見たことない論点をみたときの対応についてもまとめました。
あなたは、今日の記事から何を身に付けようと思いましたか?
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読んでくださって、ありがとうございます。